ECサイトでのAI（人工知能）活用方法。今後の可能性とは

ECサイト制作・構築

公開日：2024.05.21

昨今、良く耳にすることが増えたAI（人工知能）の進化は目覚ましく、その応用範囲は気が付かないうちにも日々拡大しています。

なんか一時的に話題になったよね。なんて思っていたらいつのまにか日常的にAIを使っている人も多いのではないでしょうか？

ECサイト運営においても、徐々にAIの導入は増えていき、業績向上や業務効率化に大きく寄与していくことでしょう。AIを活用することで、よりパーソナライズされたユーザー体験を提供し、競争力を高めることが可能となります。

本記事では、AIがECサイトにもたらす具体的な効果や、その活用方法について解説します。

これからECサイトでAIを活用したいと考えている方や、すでにAIを導入している方にとっても、有益な情報を提供できる内容となっています。AIの力を活用して、ECサイトの運営を次のレベルに引き上げるためのヒントを本記事でぜひご確認ください。

おさらい。AI（人工知能）とは？

私はAIと聞くとスティーブンスピルバーグの映画「A.I」を思い浮かべてしましますが
そんな時代がいつかくるのでしょうか。つい先日もニュースで表情筋を動かして笑顔を真似るロボットが紹介されており驚きました。

話を戻しまして、AIとは、Artificial Intelligenceの略で、その名の通り「人工知能」を指します。
人間のような思考を行い、学習し、問題を解決することができる技術やソフトウェアのことを指します。

AIは主に以下の2つに分けられると言われています。

特定のタスクに特化したAI
特定の問題を解決するために設計されたAIです。一つのタスクに対して高いパフォーマンスを発揮しますが、他のタスクには適用できません。現在はこちらのAIが使われており、業務効率化や顧客体験の向上に対する貢献が大きく期待されています。
幅広いタスクをこなす汎用AI
人間の思考に近い知能を持つAIと言われていますが、まだ実際には実用段階ではなく、研究開発の段階にあるため、現時点では実用例はないようです。

話題の生成AIとは？

生成AI（Generative AI）は、AI技術の中でも特に注目を集めている分野になります。
これは、大量のデータをもとに新しいコンテンツやデータを自動生成する能力を持つAIを指します。
生成AIは、文章、画像、音声、動画など、さまざまな形式のコンテンツを生成することができ、その応用範囲は非常に広いと言われており、活用方法はこれからどんどん多様化していくことでしょう。

ECサイトにおいて生成AIは、コンテンツ生成、画像と動画の生成、チャットボットとカスタマーサポートなど、さまざまな方法で活用されています。
生成AIは、商品説明やブログ記事、レビューなどのテキストコンテンツを自動で生成することができるため、コンテンツ作成にかかる時間とコストを大幅に削減することができます。

また、一貫性のあるコンテンツを大量に生成することが可能です。生成AIの精度はどんどん進化しており、商品のプロモーション用画像や動画の作成にも利用され始めています。
例えば、商品の3Dモデルを生成して、顧客がオンラインで製品をさまざまな角度から確認できるような様々な活用方法が考えられます。
バーチャル試着やAR（拡張現実）技術と組み合わせることで、よりインタラクティブなショッピング体験を提供します。

生成AIの進化に伴い、ECサイトでの応用範囲はさらに広がると予想されています。

ECサイトで注目されているAIの活用方法とメリットは？

ECサイトにおけるAIの活用方法は多岐にわたりますが、特に注目されているのは「商品推奨」「チャットボット」「在庫の適正管理」の3つの分野です。AI技術を効果的に導入することで、ECサイトの競争力を大幅に高めることができるでしょう。それでは詳しくみていきましょう。

商品コンテンツ制作の自動化

商品コンテンツ制作の自動化は、ECサイトの運営の業務を大幅に削減する方法の一つです。

新商品が頻繁に追加されるECサイトは、一つ一つ商品説明を考えるにはかなりの時間と労力がかかります。
ですがAIを使用することで大量のデータを分析し、商品説明文を自動生成することが可能です。例えば、商品の特徴やスペックを元に、お客様に分かりやすく魅力的な説明文を自動で作成することができます。あとは不足している部分や、付け加えたいテキストを追加して完成。

次に、AIは画像の自動生成や編集にも役立ちます。商品の写真を自動で加工し、画像を生成することが可能です。これにより、画像編集にかかる手間も省くことができます。
このように、AIを活用した商品コンテンツ生成の自動化は、ECサイトの運営効率を大幅に向上させるだけでなくコンテンツの質を高めることができます。これからのECサイト運営において、生成AIの導入はますます重要になるでしょう。

参考：メイクショップ、ChatGPT APIを活用した商品説明文の生成機能

パーソナライズドした最適な提案

AIで過去の購入履歴や閲覧履歴、検索履歴などを分析したデータをもとに、AIは個々のユーザーに最も適した商品やサービスを提案してくれます。例えば、以前に特定のブランドの商品を購入した顧客には、そのブランドの新商品や関連商品を提案することができます。これにより、顧客の興味を引き、購入意欲を高めることができます。

さらに、AIはリアルタイムでのパーソナライズも可能にします。顧客がECサイトを訪れた瞬間から、その行動を追跡し、瞬時にパーソナライズされたコンテンツを表示します。例えば、顧客が特定のカテゴリーの商品を頻繁に閲覧している場合、そのカテゴリの商品をトップページやおすすめセクションに優先的に表示することができます。これにより、顧客は自分に最適化されたショッピング体験を享受でき、満足度が向上します。

このように、生成AIを活用したパーソナライズドマーケティングは、顧客体験を大幅に向上させるだけでなく、コンバージョン率の向上にも寄与します。顧客に対して一貫して関連性の高いコンテンツを提供することで、リピート率も向上し、長期的な顧客関係を築くことができます。ECサイトにおいて、パーソナライズドマーケティングはますます重要な役割を果たすでしょう。

在庫の適正管理

在庫管理はECサイト運営において非常に重要な要素であり、AIの活用により大幅に改善することができます。
AIは在庫の最適化や効率的な管理に寄与し、無駄なコストを削減しながら、顧客満足度を向上させる多くのメリットをもたらします。

AIを使って過去の販売データ、季節性などを分析し、需要予測を行います。
需要予測を行うことによって適切な在庫量を維持し、欠品や過剰在庫を防ぐことができます。
例えば、前年までのデータを入力し、特定の商品がどの時期にどれだけ売れるかを予測します。その時期に合わせて在庫を調整することで、効率的な在庫管理が可能となります。

AIはリアルタイムで在庫状況を監視し、異常な動きを検出することができるそうです。例えば、突然の需要の急増や不正な注文を検知し、迅速に対応することができます。これにより、在庫不足による販売機会の損失や、過剰在庫によるコストの増加を防ぐことができます。

AIによる在庫管理は、コスト削減にも大きく貢献します。過剰在庫を減らすことで、保管コストや廃棄コストを削減することができます。
また、欠品を防ぐことで顧客の不満を減らし、リピーターの獲得につなげることができます。

参考サービス：Deep Predictor

AIで近い将来こんなことも当たり前になる？！番外編

バーチャルリアリティ（VR）の進化

VR（Virtual Reality・仮想現実）はVRゴーグルの中の100%バーチャルな仮想世界にユーザーが入り込む体験を指します。

徐々にですがバーチャルリアリティ（VR）の技術が進化し、ECサイトでのショッピング体験が劇的に変わることが期待されています。Apple Vision Proの発売が記憶に新しいですが、今は少し粗削りに感じるVR技術も、近い将来には顧客がオンラインで商品を購入する際の不安を軽減し、より魅力的でインタラクティブな体験を提供することになるでしょう。
VR技術を活用することで、顧客は自宅にいながらバーチャル空間の中で、ショッピングモールや店舗を歩き回っているかのような体験ができるようになると言われています。この技術を使用したサービスをVRコマース（バーチャルコマース）と呼ばれており仮想空間に店舗を設置してリアル店舗と同等の購買体験ができる、新しいオンラインショッピングのことです。

ファッションやアクセサリーを選ぶ際、顧客はバーチャル上での試着を通じて、衣服やアクセサリーを実際に着用しているかのように確認できます。そうすることで、購入する前に色やスタイルが自分に合うかどうかを確かめることができ、実際に届いた際の相違をなくすことで、返品や交換の手間を減らすことが可能です。

VR技術は不動産の分野でも応用が期待されています。物件の内覧をVRで行うことで、遠方の物件を検討する際も、実際に現地で見学しているかのような体験を提供し、購入や賃貸の決定をサポートします。

VR技術の進化により、ECサイトでのショッピング体験はますます豊かでインタラクティブなものになるでしょう。顧客はより具体的に商品をイメージし、自信を持って購入することができるようになります。

拡張現実（AR）の進化

対してARはスマホなどのデバイス越しの現実世界にバーチャル映像を重ねて表示させる技術のことを指します。
近い将来、AIと拡張現実（AR）の技術がさらに進化し、、現実世界にデジタル情報を重ね合わせることで、ECサイトの購入体験がさらに進化されると言われています。

Amazonなどでは既に見かけるようになりましたが、ARを使って自宅で商品の仮想配置が当たり前になるでしょう。例えば、家具やインテリアを購入する際、スマートフォンやタブレットを使って、実際の部屋に家具を配置したイメージをリアルタイムで表示できます。

これにより、サイズ感やデザインが部屋にマッチするかどうかを確認でき、購入前の不安を解消します。
化粧品や美容製品の分野でも、ARとAIの組み合わせは大きな効果を発揮します。顧客は、ARアプリを使って仮想メイクを試すことができ、リップスティックやアイシャドウなどの製品を顔に適用したイメージを確認できます。AIは肌のトーンや顔の形に基づいて最適な色やスタイルを提案するため、購入前に納得して商品を選ぶことができます。

参考：ZOZOTOWN（ARメイク）

マルチチャネルの統合とシームレスな体験を提供する

近い将来、AIの進化により、ECサイト運用においてシームレスな顧客体験が実現されることが期待されています。
これにより、顧客はどのチャネルを利用しても、一貫したサービスと情報を受け取ることができ、利便性が大幅に向上します。

マルチチャネル統合とは、ECサイト、モバイルアプリ、SNS、実店舗など、複数のチャネルを統合して管理することです。例えば、ユーザーがECサイトで商品を検索し、後で実店舗でその商品を購入する際に、過去の閲覧履歴や好みに基づいたおすすめ商品を提案することが可能になります。

また、AIは顧客の行動パターンを分析し、最適なタイミングで適切なチャネルを通じてメッセージを配信します。これにより、顧客に対してリーチする効果が最大化され、マーケティングキャンペーンの成功率が向上します。例えば、特定の商品に関心を示した顧客に対して、SNSでクーポン情報を提供し、購入を促進することができます。

このように、AIを活用したマルチチャネル統合とシームレス体験は、ECサイト運営に多大なメリットをもたらします。